2017年9月14日
祭り目前、大型台風も急接近している中、お彼岸のお話にどれだけの方が耳を傾けて下さるかわかりませんが、逆風に屈せず書いて参りたいと思います。
今年の秋のお彼岸は20日から26日です。
お彼岸は春分の日、秋分の日を中心とした前後3日間の7日間となります。
仏教の教えの一つに『中道の教え』というものがあり、昼と夜の時間がまったく同じ時間になる春分の日・秋分の日が、その教えの内容に合致していることから、この時期をお彼岸と呼ぶ様になったと言われています。
『彼岸』と対になる言葉を『此岸』と言います。
『彼岸』・・・仏様の住む世界、迷いや苦しみのない世界
『此岸』・・・私たちの住む世界、苦しみの世界
であり、『此岸』から『彼岸』に至ろうとする仏教思想が元となっています。
つまりは仏道修行の期間なのです。
世の中には『交通安全週間』や『動物愛護週間』など、それらを啓発するための『〇〇習慣』というものがたくさんありますが、さしずめお彼岸は『仏教週間』、『仏道修行週間』と呼べるのではないかなと思っています。
『彼岸』に至るための修行と書きましたが、この修行はどの様なものかということも仏教には説かれています。
それは『六波羅蜜(ろくはらみつ)』の実践です。
『六』の漢数字が示す通り、六つに分けられていますので、一つずつ書いて参りたいと思います。
1、布施(ふせ)
見返りを求めることなく善き行いを施すこと
2、持戒(じかい)
他者のことを考え譲り合う、自分勝手にならない
3、忍辱(にんにく)
困難を抱えても自暴自棄にならず耐え忍ぶ
4、精進(しょうじん)
最善を尽くして努力を重ねる
5、禅定(ぜんじょう)
その場の感情に流されず、心を平静に保つ
6、智恵(ちえ)
本質を見抜く力を持つ、自分の知識だけで物事を考えない、自分の物差しで計らない
非常に簡潔に書きましたが、ざっとこんなところです。
実際問題、非常に耳の痛い話ばかりです(~_~;)
ですが、これらのことをよくよく考えてみる期間、それが『お彼岸』です。
自分自身の心の内を改めて見つめ直してみると、気づかされることもたくさんあるかと思います。
『彼岸』は己の心の内に存在します。
しかし、心は大変移ろいやすいものです。
人格者として皆から信頼されている方でも、出来心やその時の自分の置かれている状況次第で、悪事に加担してしまうこともあります。
逆に、今まで自分のことばかり考えて生きてきた様な人でも、ある時、他者のために自分を犠牲にする人だっています。
その心が、地獄、餓鬼、修羅の世界に支配されることもあれば、仏の心を持つこともあります。
『お彼岸』はそんな移ろいやすい自分の心を見つめ直す『仏道修行週間』。
日蓮宗の宗祖、日蓮大聖人は彼岸への道しるべに『南無妙法蓮華経』のお題目を私たちに遺して下さいました。
9月22日はお寺で『秋季彼岸施餓鬼会』を奉行致します。
お寺参りやお墓参りの際に、お彼岸のお話をよくよく考えて手を合わせてみる。
今までと違った景色が眼前に広がるかもしれませんね(^-^)
※今年のお祭りは天気が荒れることが予想されています。大きな事故のないことを祈念しております。