『お曼荼羅』の秘密

2018年10月15日

先日、とあるお檀家様と『お曼荼羅』の話になりました。

『お曼荼羅』とはなんぞやについて語り出すと、とってもとっても長くなるので簡単に。

『お曼荼羅』とは、日蓮聖人が仏様の悟りの世界を図顕されたご本尊であります。

写真をアップしてご説明できればいいのですが、途中に写真を挟むことができないのでご容赦ください。

 

何にせよ、『お曼荼羅』とは大変有難く尊いもの。

そのようにご理解ください。

お話の趣旨は、お曼荼羅がどういったものなのかをお伝えしたいわけではないのです。

 

冒頭でとある檀家様と『お曼荼羅』の話になったと申しましたが、その時に、以前『お曼荼羅』の研究をされている学者の先生から聞いた話を思い出し、そのお話をさせて頂いたのです。

その学者の先生はこのようなことをおっしゃっておられました。

「日蓮聖人が認(したた)められた現存するお曼荼羅は、どれも非常に損傷が激しかった。特に真ん中に書かれている『南無妙法蓮華経』の『お題目』の部分の損傷が目立つのです。保存技術がお粗末であるとは故、いわば宗門の宝とも言える『日蓮聖人直筆のお曼荼羅』が、なぜにこのような扱いをされてきたのか。なぜ一番肝心肝要の『お題目』の部分の損傷が激しいのか」

その理由がわかるまでは、怒りすら覚える感情を抱いたとのこと。

しかし、研究の過程でその意味するところに気づいたという。

気づかせるきっかけとなったのは『人の油』であったらしい。

損傷の激しいところには油の付着があることがわかった瞬間に謎が解け、その時涙が溢れ出したとおっしゃっておられました。

 

どうでしょう?

謎は解けましたでしょうか?

 

もったいぶらずに早く言えと?

失礼いたしました。

 

その『お曼荼羅』には多くの人の手に触れた形跡があるのです。

中でも損傷の激しい『お題目』の部分は、他の箇所よりも人の手が触れられていた。。。

 

皆さん、何かパワーを感じるものがあれば、それを実際に触れてみたいと思いませんか?

樹齢ウン千年の神木、不思議な形をした巨岩・・・

うーん・・・ピンとくるいい例えが思い浮かばなくてすいません(笑)

上記の例は、決して分かりやすい例えではありませんが、何かパワーを感じられるもの、パワーが備わっていそうなものに触れることで、その力を分け与えてもらえるような感覚。

そういうのってありますよね?

パワースポットやパワーアイテム。

こんな言葉が流行るのも、人間はどこか何かにすがりたい気持ちがある故です。

 

宗門にとって唯一無二の宝である『日蓮聖人直筆のお曼荼羅』、ひいては『お題目』の箇所の損傷が激しかったことは、言わばお題目への信仰の証でもあります。

 

そう言えば、当山に安置されている日蓮聖人の辻説法の様子を表した木像も、色の黒い箇所とそうでない箇所に差があります。

もしかすると、何かお力を頂けないかと思った方々の手に、触れてこられたのかもしれません。